月に遺骨を埋める

「お母さんの遺骨をお守りのように身に着けたい」というご依頼をいただいた。

私がお会いしたことない方の遺骨を触らせてもらっていいのか?

すごい大役すぎないか??と、ひるんだけれど、

生命を産む経験や、大切な生命との別れを経験した

今の自分になら出来るかもしれない。。と思えたので

受けさせていただいた。

 

打ち合わせの日の帰り道に見た月が、

キラキラしててとても印象的で

そうだ!お母さんのお骨を、月に埋める指輪にしたらどうかと思いつく。

命日にちなんで、3という数字をどこかに入れたいとのことだったので、

月に3箇所に分けて埋めることに。

 

お母さんの命日に地球上から見えていた部分に埋める。

月齢11.1

 

ちょうど、この時から見え始める「虹の入江」と、

明るかったお母さんに似合う「晴れの海」、

彼らがワインの仕事をしているので「神酒(みき)の海」

の3ヶ所に埋めることにする。

 

 

ちょうど、その3ヶ所を通るラインで、月を輪切りにしたような指輪

 

コンセプトはすぐ決まったんだけど、

月がなかなか納得出来る形にできず、

本当に長い時間いただいてしまいました。

 

男性用は真鍮、女性用はK18イエロー

 

女性用

 

男性用

 

月のカタチに、悩み抜いた先に辿り着いたのが

月は太陽系の中で、地球に隕石か何かぶつかって分離してできた

偶然の産物なんだってこと。

なので月のことばっかりじゃなく、太陽系の中を意識したら

ようやくカタチになりました。

場所によって表情が全然違う

 

そして、リングの内側3ヶ所

虹の入江、晴れの海、神酒の海の裏側に 骨を粉にして

漆と混ぜて埋める。

(漆作家やのさちこさんに、ご協力いただきました。)

 

本当はお母さんの命日までに指輪を仕上げたかったんだけど、

間に合わなかったので、予定変更して

命日の日に、指輪に納骨させてもらうことにした。

 

白漆と骨の粉を混ぜ合わせたのですが、

骨のカルシウムにウルシオールが反応して、グレーになってしまった。

(漆って奥が深い。。)

 

樹脂だと、骨の白色はそのまま見えるけど、

どうしても骨を科学的な素材に混ぜるのに抵抗があり

変色してしまうけど、天然の漆にさせていただいた。

彼女と旦那さんと、一緒に暮らす、ツクという名の犬

みんなで月に骨を埋めに行くこと想像しながら作ったら、

3ヶ所の穴のうち、神酒の海の穴は、ツクが掘ってくれたので

犬が掘った感じになってます。

よく見たら骨の粒が見える。

本当に本当にお待たせしました!!!

あぁ〜やっとできた!

 

貴重な体験させていただき、ありがとうございました!

 

 

 

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